STORY

WE asked ourselves
WHAT WE CAN DO AND WHAT SHOULD BE DONE
2011年に起きた東日本大震災は、ものの数分にして多くの尊い命、暮らし、そして街を奪い、傷つけ、はかり知れないほどのダメージを人々の心に残していきました。さらに震災後の現地では、職人や資材、重機が不足し、壊滅的な状況からの復興はなおのこと険しい道のりに感じられました。
手に入る資材を使って、早く・安く・簡単にセルフビルドで建設できる新しい構法を。大学で建築を教える小林博人とその学生たちが、自分たちにできることを模索し、実行してみたのが「べニアハウス」の始まりでした。

WE DEVELOPED
A SELF-BUILD ARCHITECTURE SYSTEM
注目したのは、べニア合板。どこでも安価で手に入れやすく、それでいて反りがなく寸法が正確。材料強度も安定していて、建築資材として非常に優秀です。そのうえ、森林の間伐材を材料としているので、環境にもやさしい。
こうしたべニア合板をあらかじめカットしておき、それらを特殊な技術や工具を使わずに利用者自らが組み立て、建築物を建てることを可能にするのが「ベニアハウス」です。

WE BELIEVE
IN BRINGING ARCHITECTURE CLOSER
現代では、建築技術が高度に発達し分業化したため、建築とそれを利用する人との関係が乖離してしまったように思われます。しかし、自分で自分の建物を作ることは楽しいばかりでなく、そうすることで建物に対する愛着も強まります。
べニアハウスを通じて分かったこと。それは、ひとつの建物をコミュニティのみんなで協力して作ることによって、地域の有してきた知恵や文化の伝承が起こり、土地に対する思いや、コミュニティに対する思いが強まること。
建築が多くの人たちにとって「自分ごと」になる。私たちはべニアハウスのそんな一面に大きな可能性を感じています。
APPROACH
どうしたら、人と建築、人と人の距離を縮められるだろうか。これに対して、私たちなりに考え、開発してきたべニアハウスのメソッドを以下に紹介します。

べニアハウスの基本は、専門知識や特殊な技術がなくてもプラモデルのように誰もが組み立てられる簡単な仕組み。
合板は世界中で手に入る資材であるため、カットのデータさえ送れば、どこでも部材を生産することが可能です。欲しい人が欲しい場で生産できる。つまり拠点型の生産・供給ではなく、分散型に展開できる建築です。
ACCESSIBILITY

LOCALITY
ベニアハウスでは、 合板から切り出したパーツにより建物の構造フレームを作ります。しかし、外装や開口部については、風土や地域の微文化に合わせ、現地の材料や構法を採用することに重きを置いています。
地域の文脈に合わない、突然誰かに与えられた建物ではなく、自分たちで作る自分たちの建築。慣れ親しんだ材料や作り方であれば、自分たちの手で修繕も可能で、持続可能な建築となります。周囲の景観と調和し、ローカルプライドを育む、そんな建築をべニアハウスは目指しています。

WORKSHOP
べニアハウスの真髄は、誰もが建物の建設に携われるセルフビルドのシステムによって、建築を身近なものにすることにあります。そんなベニアハウスの仕組みを分り易く伝えるため、これまで様々なワークショップを開催してきました。
建設要員として関わる人たちや地域の人たちに対して行う、模型等を用いた説明用のワークショップ。実際に組み立てを体験してもらうためのイベント型のワークショップ。建設への参加は難しい小さな子供たちを対象に、同じ構法のおもちゃづくりを通じてベニアハウスへの理解を深めてもらうワークショップ。
形態はさまざまですが、より多くの人に参加してもらう機会づくりを私たちは大切にしています。

DISTRIBUTION
元々東日本大震災の災害復興を契機に生まれたべニアハウス。非常時に仮設のシェルターや集会所として役立てるポテンシャルを有していると私たちは考えます。しかし、万が一の時に備えて大量の部材を寝かせておくのでは保管代がかさんでしまいます。また、災害が起きてからデザインを決定し材料の確保や部材のカットを行うと、その分時間がかかってしまいます。
そこで、ベニアハウスを製品化して日頃は市販のマーケットにのせ、災害や緊急事態発生時に一時的にそれらをかき集めることができれば、困っている方々の元に素早い支援をお届けできると考え、キットの開発と販売を行っています。そして、キットをご購入の皆様には名簿登録へのご賛同をお願いし、非常時に具体的な支援活動の呼びかけができる体制づくりを行っています。